取扱業務

派遣切り

派遣切り

Q.私は、A派遣会社に1年間の契約で雇われ、B会社に派遣されています。A派遣会社に雇われてまだ半年しか経っていないのに、B会社での仕事が打ち切られたことから、A派遣会社から「解雇するので、明日からもう来なくていい」と言われてしまいました。どうしたらいいでしょうか。
A.あなたとA派遣会社との契約のように、期間が定められた雇用契約の場合、労働契約法17条1項で、「やむを得ない事由がある場合」でなければ、期間の途中の解雇は許されないこととされています。ここで言う「やむを得ない事由」とは、会社が倒産の危機に瀕しているなどの場合に限られており、派遣先のB会社の仕事がなくなったというだけでは「やむを得ない事由」にはあたりません。

また、派遣元のA派遣会社には、労働者の希望や能力に応じた就業機会を確保する努力義務があり(労働者派遣法30条)、派遣先であるB会社から仕事を切られたとしても、新たな派遣先を確保しなければなりません。

ですので、A派遣会社に対しては、解雇の撤回と、新たな派遣先を確保することを求めていくことになります。

Q.私は、C派遣会社に雇われて、D会社に派遣されています。今回、D会社での仕事が打ち切られたことから、C派遣会社から「仕事がないので待機していてほしい」と言われて自宅待機をしていますが、その間の給与が払われません。どうしたらいいでしょうか。
A.このように、派遣先であるD会社の仕事がなくなった、という事情で休業(自宅待機)する場合は、派遣元であるC派遣会社の側の事情での休業(使用者の責に帰すべき事由による休業)ですので、あなたはC派遣会社に対して、従前どおりの給与を請求する権利があります。また、少なくとも従前の6割の給与が払われない場合には、C派遣会社に対して罰則が科せられることになります(労働基準法26条)。

ですので、C派遣会社に対して給与の支払いを求めることができます。

Q.私は、7年前からE会社に雇われ、F会社の工場で働いています。最初の5年間はF会社の業務請負として、あとの2年間はE会社からF会社への派遣社員として働いてきました。しかし、実際は、7年間、F会社の社員と同じラインに入り、F会社の社員から直接指示を受けて、全く同じように働いてきました。それが、今回、F会社から仕事を打ち切られ、E会社とF会社との間の派遣契約も解約されることになってしまいました。どうしたらよいでしょうか。
A.労働者派遣法40条の2では、製造業や一般事務などの職種で派遣労働者を働かせる期間について、最長3年間までと定められています。そして、派遣期間が3年間を超えた場合、その派遣労働者が派遣先での直接雇用を希望していれば、派遣先はその派遣労働者に対して直接雇用を申し込まなければなりません。

今回、あなたはF会社へ派遣社員として派遣されている期間はまだ2年間ですが、それ以前にもF会社から直接の指揮監督を受けながら同様の働き方をしている期間があります。この期間について偽装請負にあたる可能性があります。「偽装請負」とは、「請負」を「偽装」した派遣労働であり、実態が派遣労働であれば、その後の派遣期間と併せて通算されなければなりません。ですので、あなたの場合、最初の5年間が偽装請負にあたるのであれば、それも併せて派遣期間として計算されることになり、派遣先のF会社には直接雇用を申し込む義務が生じます。実際、あなたと同様の事案で直接雇用が認められたケースもあります。

ですので、派遣先であるF会社に対して直接雇用を求めていくことが考えられます。また、派遣元であるE会社に対して、新たな派遣先を紹介することを求めていくことも考えられます。