活動紹介

アスベスト被害で当時の勤め先企業と和解成立

1 建設現場で働いてアスベスト被害を受けたAさん

 かつて建設現場で働き,アスベストに曝露して病気になられた方について,当時の勤め先企業との間で和解が成立し,賠償金を得ることができました。

 Aさんはある建設会社に定年まで勤務しており,さまざまな建設作業に従事してきました。現場監督として立ち会ったこともあります。かつて建設現場では多くのアスベスト建材が使用されており,Aさんもそれらの建材からアスベスト粉じんに曝露したのです。

 アスベスト被害は潜伏期間が数十年と非常に長いのが特徴。Aさんも,そうしてアスベストに曝露して数十年たってから,会社も退職した後になって被害が顕在化したのです。

 

2 労災の申請

 ご相談をいただき,まずは労災申請を行うことになりました。労災と認められれば治療費が支給され,休業補償も受けることができるからです。お仕事の内容を詳しく聞き取り,アスベストに曝露したであろう場面を特定して労災申請の準備を進め,関係資料もそろえたうえで労災申請を行いました。

 その結果,無事に労災と認められ,医療費や休業補償などの給付を受けることができました。

 

3 給付金の申請

 続いて,建設アスベスト給付金の申請を行いました。当事務所の弁護士も所属するアスベスト弁護団の獲得した2021年の最高裁判決に基づいて国が救済制度を創設し,一定の要件を充たした場合は,労災給付金とは別に,国から給付金を受け取ることができます。Aさんも建設現場でアスベストに曝露していたことから,対象になると判断したものです。

 必要な資料をそろえて申請を行った結果,スムーズに給付を受けることができました。

 

4 元勤務先との交渉

 Aさんは建設会社に定年退職まで勤務し,その中でアスベスト被害を受けたことから,当該会社に対して責任を問うことができないか検討しました。これまでの判例なども精査した結果,従業員に対する安全配慮義務違反という観点から法的に責任を問うことができると判断し,賠償金の支払いを求める通知を送付しました。

 会社からは当初「責任なし」という回答がありましたが,判例や客観的事実を示して交渉した結果,賠償金の支払いを受けることができました。裁判手続きを経ることなく解決することができたのは大きな意義があると思います。

 

5 当事務所にご相談を

 アスベスト被害にはさまざまなタイプがあり,手続きにもいろいろなものがあります。古い時期のことでもあり,専門的知識も必要となります。

 当事務所ではアスベスト弁護団として最高裁判決を勝ち取り,給付金制度の実現を果たすなど,長年にわたってアスベスト被害の救済に取り組んできました。相談実績・解決実績も多数ございますので,お気軽にご相談ください。