取扱業務

「リース契約」が関係する消費者被害

消費者被害

Q.最近よく耳にする「リース契約」が関係する消費者被害もあるのでしょうか?
A.何らかの物を使いたいという場合、普通はそれを購入して使います。しかし、リース契約を用いると、リース会社が使用者に代わってその物を購入し、これをリース契約を締結した使用者に使用収益させて、契約期間中に使用者がリース会社にリース料を支払うことになります。これを「ファイナンス・リース」といい、普通「リース契約」という場合にはこのファイナンス・リースを指します。

このリース契約においては、使用者が中途解約できない(中途解約すると残リース料全額を支払わなければならない)という特色があり、トラブルになるとこともありますが、他にも、リース契約を用いたさまざまな被害が発生しています。

例えば、電話機リースやホームページリースという類型があります。前者は、「この電話機に交換すると電話料金が安くなります」とウソの勧誘をして、被害者に全く必要のない多機能の電話機について、通常より著しく高額な価格で契約を結ばせるもので、後者は、インターネット上のホームページ作成費用などについてリース契約を締結させるものです。リース会社は「うちの会社はそんな事情は何も知らない」などと主張して、リース料全額を請求してきます。被害回復のための法整備が望まれますが、現段階でも、クーリング・オフ(契約解除)を活用するなどしてリース料の支払いを拒絶する余地もあります。

ほかにも、「空リース」の問題があります。これは、リース契約を締結し、リース会社から納入会社に代金が支払われたにもかかわらず、実際には使用者の元に物が納入されていないといった場合です。この場合、使用者とリース会社が締結する契約は、「月々○○円のリース料を支払う」というリース契約であり、物を使用できるかどうかとは関係のない契約ですから、使用者がリース料の支払いを拒絶することは原則としてできません(例外的に支払拒絶を認めた裁判例もあります)。

そのため、納入会社と使用者が共同し、リース会社から代金相当額を引き出すために空リースを行ったという場合、リース会社からの請求を拒絶することは困難です。貸金業に対する規制が強化される中で、現金調達の手段として、空クレジットを用いてリース会社から代金相当額を引き出し、そこから一定の金額を控除して使用者に交付するという手法も現れてきていますが、使用者の責任は重いので、このような話を持ちかけられても安易に乗らないようにしましょう。

他方、使用者の連帯保証人がリース会社からリース料の支払請求を受けた場合、空リースであることを理由に錯誤無効を主張して支払いを拒絶できる場合があります。

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