取扱業務

日照権の侵害についての法的手段

近隣・マンション建築問題

Q.日照権の侵害については、どのような法的手段が考えられますか?
A.第1に、日照権侵害が重大であって、受忍限度を超える場合には、損害賠償を請求できます。土地の価格の下落も損害と考えられますが、裁判所で認められたケースはほとんどありません。

建築基準法の日影規制を守った建築物でも損害賠償を請求できる場合があると考えられますが、1時間あたり15~20万円程度の補償にとどまるケースが多く、金額はあまり多くありません。

住宅地域では損害賠償を認めながら、商業・工業地域では損害賠償さえ認めないことも少なくありません。ただし、和解例では、京都市内の商業地域において数百万円の賠償を認めさせた例もあります。

第2に、日照被害が甚しく回復困難な損害をもたらすときは、仮処分で工事の全部ないし一部を差し止めることも考えられますが、前記の建築基準法の規制を守った建築物に対する工事差し止めは、裁判所では認められにくいのが現状です。*1 もっとも、仮処分申立をして裁判上の和解で工事の一部を変更させた例は多数存在しますので、手段としては有効だといえるでしょう。


  • *1 近隣商業地域において日照権に基づく建築禁止仮処分が認められた例として神戸地裁尼崎支部2010年2月24日決定。

Q&A一覧