刑事裁判(公判)はどのように行われるのでしょうか
刑事事件等
自白事件の場合
第1回公判では、検察官から起訴状の朗読が行われ、次いで裁判官から黙秘権の告知がなされ、そして被告人の罪状認否が行われます。被告人が公訴事実を認めると、検察官が公訴事実を立証するための請求証拠のほとんどについて、被告人・弁護人側が同意することになり、これで検察官立証が終わります。
被告人・弁護人側としては情状立証を行うことになります。弁護人は、事件の背景・原因の深層に立ち入り、被告人に有利な事情を裁判所に理解してもらうために、真の動機や原因、被告人の生い立ちや境遇などを明らかにして、できる限りの寛大な判決を求めます。より具体的にいうと、弁護人は、犯行の動機、目的、事件の社会的背景、犯行の偶発性、犯行の手段・方法・態様、結果発生の程度、被害回復の有無・程度、共犯の場合はその主従関係・役割分担、被害者側の落ち度という犯情事実に加えて、被告人の生育歴・性格、生活状況、反省の程度、被害弁償の有無・程度、被害者側の宥恕ゆうじょ感情(許してあげる気持ち)などの一般情状につき、主張・立証を行います。
書証を提出するとともに、情状証人(主として肉親や雇い主など)に法廷に出て証言してもらいます。そして、被告人質問が行われます。最後に、検察官から論告・求刑がなされ、弁護人が最終弁論を行い、結審(審理の終了)となりますが、多くの自白事件の場合、結審までの公判は1~2回程度です。
結審後、通常2週間ないし1カ月後に判決が言い渡されます。自白事件の場合、有罪判決が言い渡されます。有罪判決の場合、懲役○○年、禁固○○年、罰金○○円などの刑が言い渡されます。3年以下の懲役・禁錮、50万円以下の罰金の場合、情状により刑の執行が猶予されることがあります。執行猶予の付かない懲役・禁固の刑を「実刑」といいます。実刑判決が確定すると、被告人は刑務所に収容されることになります。
なお、判決に不服のある場合には、判決の翌日から数えて14日以内に高等裁判所に控訴の申立をすることができます。この場合には判決は確定しません。
否認事件の場合
検察官請求証拠に対し、被告人・弁護人側が不同意するものが多く、検察官が証人尋問を請求することになります。被告人・弁護人側もアリバイ立証等の反証を行うなど積極的に立証を行うこともあります。従って、公判回数も自白事件に比べて多数回となります。判決言い渡し日も先になることがあります。
判決には有罪と無罪があります。
無罪判決の場合、拘留されていた被告人は直ちに釈放されます。
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